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更新日: (公開日:)
介護職員処遇改善加算とは?介護職の給料・年収が上がる制度を解説!
あなたは、介護職の給料や年収が、年々アップしていることをご存知ですか?
社会の高齢化に伴い、介護職のニーズは年々高まっています。しかし、少ない給料や待遇がよくないままでは、介護職はなかなか増えない。これは大変!
ということで、介護職の給料アップに向けて、ついに国が動き出しました。それが、「介護職員処遇改善加算」という制度。
う~ん・・・、なんだか漢字ばかり。見るだけでムズカシそう・・・。
そこで、今回は「介護職員処遇改善加算」について、わかりやすく説明していきます。
さらに、2019年に追加された「介護職員等特定処遇改善加算」についても解説!
「どのような制度なの?」「給料以外にもメリットはあるの?」など、介護職の方はもちろん、これから介護業界を目指す方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
けあ子
ひよっこ介護士。
先日、レクリエーションのカラオケで十八番を披露して、なぜか利用者になぐさめられた。
かいごろにゃん
かいご畑に住みついたネコのようないきもの。
介護業界に詳しく、けあ子のよき相談役。たいやきLOVE。
- 「介護職員処遇改善加算」で、介護職員の給料は年々上がっている!
- 「介護職員処遇改善加算」に関する、よくあるギモンをQ&Aで解説!
- 給料だけじゃない!介護職がさらに働きやすい職場へ!
- 「介護職員処遇改善加算」を取得するための4つの改善項目
- 【キャリアパス要件】役職や職務内容に応じた賃金体系の整備
- 【キャリアパス要件】スキルアップのための研修や資格取得支援の実施
- 【キャリアパス要件】経験や資格に応じた昇給制度の整備
- 【職場環境等要件】賃金以外の職場改善に対する取り組み
- どの職場でも同じようにお金がもらえるわけじゃない!?
- 「介護職員処遇改善加算」を「働きやすい職場を見極める指標」にしてみよう!
- 「介護職員処遇改善加算」のまとめ
「介護職員処遇改善加算」で、介護職員の給料は年々上がっている!
「介護職はやりがいのある仕事だけど、給料や待遇面が不安!」と、感じている人は多いのではないでしょうか。
今まさに介護の現場で働いている人も、これから介護の仕事にチャレンジしようと考えている人も、きっと同じような不安を抱えているはず。
でも実は、介護職の給料は年々アップしているのです!
こちらの表をご覧ください。
- 介護職員の平均給与額
- 単位:千円
- 調査対象:介護職員処遇改善加算を取得している施設・事業所
- 毎年9月の常勤の月給金額(手当・一時金を含む)
- グラフは「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果のポイント/厚生労働省」「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果のポイント/厚生労働省」を参考に当社が作成
なんと、この4年間で月額約3.5万円も給料が上がっています!
介護職というと「給料が安い」というイメージを持たれがちですが、徐々に改善されつつあることがわかりますね。
それを実現しているのが、今回ご説明する「介護職員処遇改善加算」という制度なのです。
▼介護職の給料事情についてもっと知りたい方はこちら
「介護職員処遇改善加算」に関する、よくあるギモンをQ&Aで解説!
では、現役の介護職でも「難しくて、わからない」との声を聞くこの制度のよくある4つのギモンについて、Q&A形式で説明していきます!
- 介護職員処遇改善加算に関するギモン
Q1.どんな目的で作られた制度なの?
Q2.介護職の給料はどういう仕組みで上がるの?
Q3.「介護職員処遇改善加算」の普及率はどのくらい?
Q4.パート・派遣社員も、制度の対象になるの?
Q1.どんな目的で作られた制度なの?
まず、そもそも「介護職員処遇改善加算」とは、どういった制度なのでしょうか。「介護職員処遇改善加算」とは、ざっくり言うと、
という内容の制度です。
この制度が作られた背景には、高齢化が進む日本での深刻な介護職不足があります。
厚生労働省によると、2025年度には約38万人の介護職が不足する見込みで、国は対策を打つ必要がありました。
介護職不足を解決するためには、介護職を目指す人を増やすだけではなく、今働いている人の定着率を上げる必要がある。そう考えた国は、介護職の給料アップ+やりがいの持てる職場づくりを促進するための制度を作ったのです。
Q2.介護職の給料はどういう仕組みで上がるの?
それでは、具体的にどういう手順で介護職の給料が上がるのでしょうか?支給までの流れを、わかりやすく図にしてみました!
- 介護職員処遇改善加算の流れ4ステップ
- 介護事業所が、介護職員のキャリアアップの仕組みや、職場環境の改善の計画をたてる
- それらの計画を、都道府県や市町村などの自治体に報告
- その報告をもとに、自治体が介護報酬に「給料の上乗せ費用」を追加して支給
- 支給されたお金を、介護職員へ給料として支給 → 給料アップ!
このように、自治体から
「この事業所は、介護職員のためになる取り組みをがんばっているね!」と認められた介護事業所にだけ、給料上乗せ費用が支給される制度なのです。
ちなみに、「介護職員処遇改善加算」で介護事業所が取得したお金はきっちり介護職員に賃金として還元することが義務付けられています。
還元の方法としては、介護職員の給料をベースアップしたり、「処遇改善手当」として支給するなど、介護事業所によって様々です。
ただ、介護事業所は自治体に対して「実績報告書」を提出しなければならず、不正はできないのでご安心ください。
介護報酬とは?
利用者は1割負担、残りの9割はぼくらの税金と保険料でまかなわれていて、介護事業所は、そのお金で施設を運営したり、職員の給料を払ったりするんだ。
Q3.「介護職員処遇改善加算」
の普及率はどのくらい?
それでは、実際にどれくらいの介護事業所が、この制度を受けているのでしょうか?
制度の取得率について、グラフにまとめてみました。
厚生労働省の調査では、全国約8,000の介護事業所のうち、なんと9割以上が「介護職員処遇改善加算」を取得しているという結果に!!
取得していない事業所は1割にも満たず、ほとんどの介護事業所がこの制度を受けていることになります。
つまり、現在働いている全国の介護職員たちのほとんどが、この制度による給料アップの恩恵を受けているということになります。
Q4.パート・派遣社員も、制度の対象になるの?
ズバリ、パートや派遣社員も、制度の対象となります。制度上、支給の対象職員は「現場で実際に介護業務を行っている人」とされ、非常勤・常勤といった雇用形態や、資格の有無などは関係ありません。
実際に、「介護職員処遇改善加算」を取得した施設では、非常勤として働く介護職員の給料も上がっていると、報告されています。
ただし、対象職員の中から誰に処遇改善手当を支給するかや、どれだけ給料を増やすかは、介護事業所に任されています。
つまり、ご本人の給料が増えるかどうかは、事業所次第ということになります。
この点については、後ほどくわしく説明しますね。
ちなみに、「介護職員処遇改善加算」によって賃金改善されるのは介護職員のみ。
介護職以外の職種(看護師・事務員・調理師など)は、処遇改善加算手当や給料アップの対象職員に含まれていません。
介護職のためだけ。そうか、私のためだけに…。
なんだかキュンときちゃう!介護職をがんばっていて、よかったぁ♪
けあ子のためだけじゃないけどね…。
「介護職員処遇改善加算」ができたことで、介護職のがんばりと給料が、見合うようになってきたみたいだね。
給料だけじゃない!介護職がさらに働きやすい職場へ!
前述のとおり、「介護職員処遇改善加算」は、介護事業所が介護職員のために給料アップ以外にも、様々な改善を行ってくれる制度です。
それでは、具体的にどのような改善を行ってくれるのでしょうか?
介護事業所が「介護職員処遇改善加算」を取得するためには、次の4つの改善項目に対する取り組みが必要となります。
- 介護職員処遇改善加算を取得するための、4つの改善項目
- 【キャリアパス要件】役職や職務内容に応じた賃金体系の整備
- 【キャリアパス要件】スキルアップのための研修や資格取得支援の実施
- 【キャリアパス要件】経験や資格に応じた昇給制度の整備
- 【職場環境等要件】賃金以外の職場改善に対する取り組み
キャリアパス要件とは、資格取得やキャリアパス制度の整備など、キャリアアップの仕組みづくりを目的としています。
職場環境等要件は、介護職の人材育成や腰痛防止などの職場改善への取り組みを目的としています。
介護施設が上記の取り組みを行うことによって、介護職にとってより働きやすい職場になることが期待されます。
「介護職員処遇改善加算」を取得するための4つの改善項目
それでは、「介護職員処遇改善加算」を取得するための4つの改善項目について、ひとつずつくわしく説明していきます。
1.【キャリアパス要件】役職や職務内容に応じた賃金体系の整備
現場で働く介護職のキャリアアップをわかりやすくするため、フロアリーダーや主任など、役職に就いた際の給料を就業規則に明記し、職員に周知します。それぞれの役職や、仕事内容に応じた待遇を設定することで、介護職員が自身の将来像を描けるようになります。
2.【キャリアパス要件】スキルアップのための研修や資格取得支援の実施
研修や、資格取得のための費用負担を行います。例えば、基本的な接遇マナー研修や、実際に現場で対応に迷うようなヒヤリハットの事例研修など、レベルに応じたサポートをすることで職員が自信を持って業務を行えるようになります。
3.【キャリアパス要件】経験や資格に応じた昇給制度の整備
その事業所の介護職員全員が平等に評価されるよう、昇給の基準を定めます。
「勤続年数3年で昇給」「介護福祉士を取得したら昇給」など、昇給のタイミングがわかると、日々、目標をもってがんばることができます。
4.【職場環境等要件】賃金以外の職場改善に対する取り組み
例えば、腰痛対策のためにリフトを導入し、離職率低減に成功した事業所もあります。現場目線に立った設備投資を行うことで、利用者にとっても良い環境になっているようです。
どの職場でも同じようにお金がもらえるワケじゃない!?
このように、介護事業所が介護職のために、キャリアアップの仕組みを作ったり、職場環境の改善を行うことで、自治体から介護職の賃金を上げるためのお金をもらうわけですが、実は、どの職場でも同じ金額がもらえるワケではないんです。
1.職場改善の取り組みによる、支給金額の違い
先程説明した、介護職員処遇改善加算を取得するための、4つの改善項目のうち クリアした数によって、介護事業所がもらえる金額が変わるのです。- 介護職員処遇改善加算の支給額の差
- 別途、詳細条件あり
- 表は、「介護職員処遇改善加算」のご案内/厚生労働省」を参考に、キャリアパス要件、職場環境等要件などの算定要件をわかりやすい言葉に変更し当社にて作成
- 月額1.35万円相当の支給もあるが、2021年に廃止が決定したため図では割愛
一番支給額が多い事業所は37,000円ですが、取り組みが少ない事業所の場合は15,000円となります。
このように介護事業所の取り組みによって、月額2万円以上の差があり、介護職がもらえる処遇改善手当がどれくらいかも職場次第ということです。
2.「介護職員等特定処遇改善加算」の対応状況による違い
2019年には、勤続10年以上の介護福祉士など、経験・技能を持つ介護職の給料アップを目的とした「介護職員等特定処遇改善加算」が創設されました。
介護職員等特定処遇改善加算は「新加算Ⅰ」「新加算Ⅱ」として、これまでの処遇改善に上乗せされて事業所に支給されます。
新加算を取得するためには、事業所は下記の条件を満たす必要があります。
- 現行の介護職員処遇改善加算の加算区分I~IIIを取得している
- 職場環境等要件に関して、複数の取り組みを行っている
- 処遇改善加算に基づく取り組みについて、ホームページへの掲載などをしている
介護職員等特定処遇改善加算でお金を支給された事業所は、勤続10年以上の介護福祉士に対し、「月給8万円アップか、年収440万円以上」を1人以上は確保する必要があります。
ただし、10年の考え方は事業所に任されていること、介護職以外の職員への配分も柔軟に設定が可能なことから、事業所によって処遇改善手当の額には違いがあるようです。
▼特定処遇改善加算についてもっと詳しく知りたい方はこちら
3.介護事業所が決めた方針による違い
また、前述のとおり、どのメンバーに対し、どれだけ給料を増やすかは、介護事業所に任されています。勤続年数・資格の有無・雇用形態などによって、支給する・しないを分けている事業所もありますし、賞与や一時金として渡すなどの支給方法や、金額も事業所の考えによってマチマチです。
先に述べた「介護職員等特定処遇改善加算」により、介護福祉士に重点的に支給する流れもありますが、支給対象の基準や配分に関しては、事業所に委ねられています。
つまり、実際にお金をいくらもらえるかは、介護事業所の方針次第なのです! なので、介護事業所と職員がきっちりコミュニケーションをとっていないと、せっかく給料がアップするのに、不満につながることもあります。 下記は、実際に「Yahoo!知恵袋」で見つけた相談です。
私は、初任者研修を修了し、今の特別養護老人ホームに常勤として働き出して1年と3か月になります。
このたび介護職員処遇改善の交付金を頂きましたが、その額は『約3万円』でした。
一方、介護福祉士の資格を持ち、5年以上勤め、それなりの役職もあるAさんの処遇改善の額は『約25万円』だったそうです。
一方、同じ職場のBさんは、3月いっぱいで退職します。
退職する旨を12月に伝えたそうですが、冬のボーナスも半額ほどに減らされ、その時に「3月の処遇改善はもらえないからね。」と伝えられ、本当にもらえなかったようです。
このように、同じ職場で務めていてもこんなに処遇改善の額に差があるものなのでしょうか?
教えて下さい。
引用元:介護職員処遇改善について(Yahoo!知恵袋より)
他にも、「管理者の身内や、気に入った人にしか支給されない」という悩みもあるようです。
自分はたくさんお金をもらえたとしても、他の職員が不公平に感じていたり、そのせいで職場がギクシャクするのはイヤですよね。
こういった不満をつくらないために、介護事業所は「介護職員処遇改善加算」で得たお金の支払い方法を明確にし、きちんと介護職員に伝えることが求められています。
また、介護事業所がきちんとお金を支払っているかどうかを知るには、給料明細書の「処遇改善手当」や「処遇改善加算」欄を確認するという方法もあります。
もし、働いている職場でお金の支払い方法に疑問や不安を抱いたら、上司に質問してみるのもよいでしょう。
「介護職員処遇改善加算」を「働きやすい職場を見極める指標」にしてみよう!
介護事業所が行っている「介護職員のための改善取り組み」の度合いで、増える給料の額も変わるということは、つまり、「介護職員処遇改善加算」をたくさんもらえる職場は介護職にとって、働きやすい職場だということになります。
転職などでこれから職場を探すみなさんは、ここをひとつのチェックポイントとしてみてはいかがでしょうか。
- 介護職の給料は年々上がっている!
- 職場の環境もよくするための制度
- 働きやすい職場を見極める指標になる
介護職の就職・転職をサポートする「かいご畑」が、介護のお仕事や業界に関する情報をお届けする、お役立ちコラムです。
かいご畑では、介護の資格をもつコーディネーターが、今回お届けした情報など専門的な立場からお仕事探しのサポートを行います。
厚生労働大臣認可の就職支援センターなので、利用は無料です。
「お仕事に関する不安や、悩みを聞いてほしい」という相談だけでもOKですので、まずは気軽にご連絡ください!
かいごろにゃん、わかりやすい説明ありがとう!
仕事のやる気も出てきたけど、まずはもらったお金で今度の合コンに向けて勝負服を買いにいこ~っと♪
あんなに説明してあげたんだから、たいやき買ってほしいニャ~!
急に「ニャ~」とかネコ感出されてもねえ。
見た目おじさんなんですけど…。さっ、一緒に服を見に行こっ。
そんな~!…、じゃなくて、そんニャ~!
本コラムは、「かいご畑」を運営する株式会社ニッソーネットが、専門家の監修のもと執筆しています。
■監修者
野口 哲也
( のぐち てつや )
みんな、「介護職員処遇改善加算」についてわかったかな?
もっと詳しく知りたいという人のために、制度についての豆知識をお届けするよ。ぜひ参考にしてみてね!
「介護職員処遇改善加算」は年々パワーアップしています!
介護職のために国がつくった「介護職員処遇改善加算」。そのあゆみを追っていくと、年を追うごとに内容が充実していくのがわかります。
- 平成21年度 「介護職員処遇改善交付金」としてスタート 介護職員のためにキャリアパスや職場の改善を行った介護事業所に対し、介護職一人あたり月額15,000円相当の給与上乗せ費用を支給していました。
- 平成24年度 「介護職員処遇改善加算」に変更
- 平成27年度 「新加算制度」でもらえるお金が大幅アップ!
- 平成29年度 加算拡充でさらに月額1万円アップ!
- 令和元年度 「介護職員等特定処遇改善加算」がスタート
それまで交付金の費用はすべて国がまかなっていたけれど、財源確保が難しくなり廃止へ。利用者が1割を負担する介護報酬から給与上乗せ費用をまかなうことにし、制度名も変更して再スタートしました。
「介護事業所にいくら給与上乗せ費用を支給するか?」を決めるための加算区分が見直しされ、支給額も月額12,000円~27,000円相当と大幅にアップ!
2017年4月1日から、より加算率の高い区分が追加され、加算区分はⅠ~Ⅴになりました。最大の支給額も月額37,000円相当の引き上げへ!
2019年の介護報酬改定に伴い、勤続10年以上の介護福祉士など、経験・技能を持つ介護職の給料アップを目的とした制度を創設。
また、2022年には、支給額の少ない加算ⅣとⅤの廃止が決定しています。
もともと、この2つは支給額をもらうための条件を一部のみ満たしている事業所に対するものであり、実際の取得率も低いことから、加算区分のスリム化を図ることになりました。
ⅣとⅤの廃止により、支給額が高いⅠ~Ⅲの加算区分を取得する介護事業所の増加が予想されており、介護職にとっては給料が高くなる可能性があります。
けっこう大変? 介護事業所が制度を申請~取得するまで
先に、「介護職員処遇改善加算」を取得している介護事業所は全体の9割と高い取得率であることをお伝えしました。
では、残りの1割はなぜ取得しないのでしょうか?その最大の理由は「事務作業の煩雑さ」にありました。
実際にどのくらい大変なのか、加算の取得方法を見てみましょう。
「介護職員処遇改善加算」取得の流れ
- 「介護職員処遇改善計画書」の作成
- 利用者・介護職員への周知
- 自治体へ必要書類の提出
- 賃金・キャリアパス・職場改善などの実施
- 自治体へ実績報告書の提出
- 「介護職員処遇改善計画書」の作成 新しく加算を取得するためには、賃金改善の見込み額や実施期間などを記載した計画書を自治体に提出することからはじまります。
- 利用者・介護職員への周知 計画書を作成すると同時に、介護職員への周知が必要となります。
- 自治体へ必要書類の提出 職員への周知や利用者への説明・同意を終えたら、計画書や届出などの必要書類を自治体へ提出します。
- 賃金・キャリアパス・職場改善などの実施 提出した計画書に沿って、賃金やキャリアパス、職場改善を進めます。
- 自治体へ実績報告書の提出
原則として年度ごとに提出することが定められており、計画書のほかに、就業規則や給与規程など様々な提出書類が必要となります。
計画書の記入例は、各自治体のウェブサイトに掲載されている場合があるので参考にしてください。
そして、忘れてはいけないのがサービス利用者への説明です。
介護報酬の1割を負担している利用者にとって、「介護職員処遇改善加算」は負担金額の増額を意味します。
介護職員の賃金を改善するための制度であること、加算要件や計算方法などの具体的な内容を説明し、理解してもらった上で同意書に捺印やサインをもらいましょう。
重要事項説明書を変更する場合には、各自治体のウェブサイトに記載例が掲載されていますので参考にしてください。
必要書類は、加算を取得し続ける場合、毎年提出する必要があります。
提出期限は毎年2月末頃で、平成30年度の提出期限は2月28日を設定している自治体が多くありました。
ただし、自治体によっては提出期限が異なる場合もあるので、介護事業所のある自治体のサイトをご確認ください。
また、年度の途中で加算の算定を行う場合の提出期限は、加算を受けたい月より前々月の末日までとなります。
介護職がイキイキと長く働ける職場をつくることで、質のよい人材の確保に繋がります。
うその報告や不正を行うと、行政処分として、介護事業所としての指定取り消しや支給金額の返還を求められる場合もありますので、きちんとした実績報告書を期限内に提出しましょう。
自治体によって、いつまでに届け出るか、必要な書類などが異なるので、詳しくは事業所のある自治体に確認しましょう。
このように、加算を取得するには様々な手続きが必要になります。
不正に使われないような仕組みづくりは大切ですが、手続きの簡素化が進めば、取得率のさらなる向上が期待できます。
「介護職員処遇改善加算」の計算方法とは
「介護職員処遇改善加算」の計算方法をざっくり説明すると、下記になります。
1か月あたりの利用総単位数(基本サービス費+各種加算・減算)×サービス別加算率
サービス別加算率とは、介護事業所が提供しているサービスごとに設定された、「介護職員処遇改善加算」の加算率を指します。
たとえば、同じ加算Ⅰを取得した場合でも、事業所によって加算率は下記の様に異なります。
- 事業所による加算率の違い(一部抜粋)
サービス区分 | 加算Ⅰ | 加算Ⅱ | 加算Ⅲ |
---|---|---|---|
訪問介護 | 13.7% | 10.0% | 5.5% |
通所介護 | 5.9% | 4.3% | 2.3% |
介護老人福祉施設 | 8.3% | 6.0% | 3.3% |
介護老人保健施設 | 3.9% | 2.9% | 1.6% |
グループホーム | 11.1% | 8.1% | 4.5% |
- 加算Ⅳは、加算Ⅲにより算出した単位×0.9(加算Ⅴは×0.8)
- 表は、「平成29年度介護報酬改定の概要/厚生労働省」を参考に当社が作成
なお、訪問看護、訪問リハビリテーションや、介護予防支援事業は制度の対象外となります。
取得後も油断は禁物!変更届も忘れずに
「介護職員処遇改善加算」を取得している施設は、届出している内容に変更が生じた場合には変更届の提出が必要になります。
- 変更例
変更届に必要な書類や届出先につきましては、各自治体の介護保険の担当部署までお問い合わせください。
主要都道府県のお問い合わせ先一覧
これまでにご説明した通り、「介護職員処遇改善加算」を取得する場合には、自治体によって必要書類や様式、期限などが異なります。
「介護職員処遇改善加算」の取得を考えている事業所の方は、まず自治体に問い合わせてから準備を進めることをおすすめします。
下記は、主要都道府県の「介護職員処遇改善加算」に関するリンクになりますので、こちらも参考にしてみてくださいね。
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