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その介護、不適切ケアではありませんか?高齢者の虐待につながる事例と予防策を提案!
不適切ケアの現場に遭遇したことはありませんか?
不適切ケアとは、利用者に不快や苦痛を与える可能性があり、虐待につながりかねない行為のこと。
介護現場でよく見られる光景が、実は不適切ケアというケースもあり、
「何が不適切ケアなのかわからない」
「不適切ケアはどうしたら防げるの?」
という戸惑いや不安の声をよく聞きます。
そこで今回は、不適切ケアの事例を多数紹介!不適切ケア防止の取り組みについてもお伝えします。
日ごろの介護が知らず知らずのうちに不適切ケアになっていないか、ぜひチェックしてみてくださいね。
けあ子
ひよっこ介護士。
夜勤明けは近所のスーパー銭湯で1日ゴロゴロ。お年寄りの常連さんには、孫のように可愛がられている。
かいごろにゃん
かいご畑に住みついたネコのようないきもの。
介護業界に詳しく、けあ子のよき相談役。風呂ギライだがサウナは好き。
介護現場の不適切ケア、知らずにやっていませんか?
「先輩や同僚がやっているから」「職場の方針だから」「効率的だから」と、知らず知らずのうちに不適切ケアをやってしまっていませんか?
不適切ケアは、どの介護施設でも起こりうる問題。
実際、介護相談員※を対象にした調査では、36.5%が、「不適切ケアがあった」と回答しています。
※介護相談員…介護施設と利用者の橋渡し役。介護施設に訪問して利用者の声を聞き、ケアの質の改善を図る。
■不適切ケアの有無
- グラフは「身体拘束及び高齢者虐待の未然防止に向けた介護相談員の活用に関する調査研究事業報告書/厚生労働省」を参考に当社が作成
上記のグラフで、介護相談員が不適切ケアと判断した行為の一部をご紹介しましょう。
- 低いイスやソファに座らせ、自力で立ち上がりにくくしている
- 個室のドアにのぞき窓がつけられている
- ごはんに薬を混ぜている
- 入浴時、裸の状態で待たせている
- 他の利用者のいるホールでオムツ交換をしている
中には、利用者の安全や健康を守るために取った措置もあるでしょうが、利用者自身の不満や不利益は後回しにされているようです。
もし、あなたが良かれと思ってしたこと、職場でみんながやっていることが不適切ケアだったとしたら…。
次の章では、不適切ケアの具体例をさらに見ていきましょう。
高齢者の虐待につながる不適切ケアとは
介護現場で起こりがちな不適切ケアには、大きく分けて、「放置」「軽視」「拘束」「強要」の4つのパターンがあります。
それぞれについて解説しましょう。
不適切ケア① 放置する
- 呼びかけやナースコールを無視する
- 「後で行きます」と言いつつ長時間待たせる
- 適切な時間にオムツ交換やトイレ誘導を行わない
- 「出たら呼んで」と便座に座らせたままにする
忙しいからと利用者をほったらかしにしたり、必要なケアを後回しにしたりといった行為は、不適切ケアです。利用者は「言っても無駄」と介護職への不信感を募らせるでしょう。
不適切ケア② 軽視する
- 声かけなしにぞんざいな介助をする
- 利用者のプライバシーに関する話題を大声で話す
- 勝手に居室に入り私物をさわる
- 名前に「ちゃん」付けやあだ名で呼ぶ
利用者を敬う気持ちや配慮の不足が不適切ケアを招きます。親しみを込めたつもりでも、小さな子どもや友達にするような馴れ馴れしい口調や態度は控えましょう。
不適切ケア③ 拘束する
- 4点柵でベッドから降りられないようにする
- 自力で立てないよう低いイスに座らせる
- 歩ける利用者を車イスで移動させる
- ミトンやつなぎ寝間着を着用させる
「転んだら危ない」「オムツに手を入れる」などを理由に行動を制限すると、利用者に大きなストレスを与え、身体機能の低下につながります。「ちょっと待って!」「~したらダメ!」などの言葉の拘束(スピーチロック)も不適切ケアです。
不適切ケア④ 強要する
- 尿意を訴えた利用者にオムツに排泄するよう指示する
- 無理に口を開けさせ食事をさせる
- 食事に薬を混ぜて食べさせる
- 夜間に何枚もオムツを履かせる
介護職の都合を優先し、利用者が嫌がることをするのも不適切ケアです。命令口調で怒鳴ったり、「~しないと食事抜き」など交換条件を出したりして、無理に従わせるケースもあるようです。
このような不適切ケアを放置すると、利用者の尊厳は失われ、介護職のモラルも著しく低下します。利用者への暴力、暴言、ケアの放棄といった高齢者の虐待にエスカレートする可能性も大いにあるのです。
どれも職場で見た覚えのある事例だわ。どうしたらいいのかしら。
確かに、忙しくて余裕のない対応をしちゃうこともあるけど、虐待なんてとんでもない!
たくさんの利用者さんをお世話してる中で、ある程度仕方のないこともあるんじゃないかしら。
介護職の言い分はわかるけど、「仕方ない」って思考停止しちゃったら、不適切ケアはなくならないんじゃないかな?日ごろの介護を見直すことが不適切ケア防止の第一歩だよ。
不適切ケアを防止、改善するために介護職ができること
「もしかして不適切ケアかも?」と疑問を持つことが改善に向けての大きな一歩。
この章では、不適切ケア防止のためのチェックリストと、改善策をご紹介します。
チェックリストで日ごろのケアを見直そう!
■不適切ケアチェックリスト(抜粋)
- 利用者に友達感覚で接したり、子ども扱いしたりしていませんか?
- 利用者に対して、威圧的な態度、命令口調(「○○して」「ダメ!」など)で接していませんか?
- 利用者への声掛けなしに介助したり、居室に入ったり、勝手に私物にさわったりしていませんか?
- 利用者の呼びかけやコールを無視したり意見や訴えに否定的な態度をとったりしていませんか?
- プライバシーへの配慮に欠けたケア(排泄について大声で話す、カーテンを開けたまま排泄ケアをするなど)をしていませんか?
詳細なチェックリストは、上記のリンクからご確認ください。
もし自分が不適切ケアをやっていると気づいたら、介護現場の接遇マナーを思い出してみましょう。
接遇マナーを意識して態度や言葉遣いを改めるだけでも、不適切ケアの防止に役立ちます。
▼介護職の接遇マナーについてもっと知りたい方はこちら
そのうえで、なぜ不適切ケアになってしまったか、介護のやり方に問題はなかったか、職員みんなで話し合うことが大切です。
多職種との連携で不適切ケアを改善しよう!
不適切ケアは、介護職だけでなく、看護師やケアマネジャー、相談員など多職種と一緒に、最適なケアを考えていくことで改善できます。
実は、利用者の状況や職員の対応によって、不適切ケアを適切なケアに変えることもできるのです。
例えば、前章で不適切な事例として紹介した利用者の名前の「ちゃん」付け。
これは、「そう呼ばないと利用者が返事をしない」「利用者が強く希望している」という理由を踏まえたうえで、きちんとカンファレンスを行い、ケアプランに盛り込んで家族の同意を得るといった手順を踏めば、適切なケアとなります。
- 利用者の状況をきちんと把握し、どんなケアが適切かを職員同士で考える
- 利用者の状況に応じたケアのやり方を職員同士で共有する
介護職1人の判断で動くのではなく、多職種が連携し、「こんな時どうしたらいいか」「このケアは不適切ではないか」を随時、話し合えるような職場なら、不適切ケアは起こりにくいでしょう。
不適切ケアの原因は職場環境?上質なケアを提供できる職場でイキイキと働こう!
不適切ケアが起こる大きな原因として考えられるのが、職場環境です。
- 人手不足で休みがとりづらい
- サービス残業が多い
このような職場では、介護職は心身ともに余裕がなくなり、利用者1人ひとりにていねいな対応をすることが難しいでしょう。
- 研修などの学びの機会がない
定期的な研修がなければ、不適切ケアについて学んで自分のケアを見直してスキルアップすることもできません。
- 人間関係がギスギスしている
仕事についての悩みや不安を相談できない、他の職員のケアに疑問を感じても報告しづらいといった状況では、不適切ケアへの対応は難しいでしょう。
介護職の職場環境を適切に整えるのが、不適切ケアをなくす一番の早道かもしれません。
あなたの職場はいかがですか?
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充分な人員配置と不適切ケア防止の教育体制のある職場で、介護職としてイキイキと働きませんか?
- 介護現場によく見られる不適切ケアは虐待につながる可能性あり
- 接遇マナーを意識したケアと多職種連携で不適切ケアをなくそう!
- 介護職が不適切ケアをしないために、働きやすい環境の職場を探そう!
この記事を書いたのは
「教えて!かいごろにゃん」 シリーズは、
介護職の就職・転職をサポートする「かいご畑」が、介護のお仕事や業界に関する情報をお届けする、お役立ちコラムです。
かいご畑では、介護の資格をもつコーディネーターが、今回お届けした情報など専門的な立場からお仕事探しのサポートを行います。
厚生労働大臣認可の就職支援センターなので、利用は無料です。
「お仕事に関する不安や、悩みを聞いてほしい」という相談だけでもOKですので、まずは気軽にご連絡ください!
不適切ケア、耳の痛い事例が多かったけど、参考になったわ。
私も、不適切ケアを指摘されてショックだったけど、自分の至らなさに気づけて良かった。ありがとう、かいごろにゃん!
どういたしまして。介護職の知識不足から不適切ケアが起こることもあるから、日々勉強して、スキルアップしてね。
決意も新たに頑張るわ!なや美ちゃん、これから2人で決起会はどう?
ぜひぜひ!久しぶりに女子会で癒されたいわ♪
え、女子だけ?いろいろ説明した猫にも適切なケアをプリーズ!
この記事の監修者
本コラムは、「かいご畑」を運営する株式会社ニッソーネットが、専門家の監修のもと執筆しています。
■監修者
川村 直弘
(かわむら なおひろ)
介護士の就職・転職支援事業の一員として、これまで長きにわたり、介護士のキャリアサポートに従事。現在は外国人技能実習生の受け入れをサポートするKAIGO人材育成協同組合の代表理事も務める。アジア諸国の若者達に仕事とキャリアパスを提供し、アジア諸国が将来的な高齢社会に直面した際に、日本式介護で高齢者を支えられるよう人材育成に尽力している。
みんな、介護現場での不適切ケアについてはわかったかな?
豆知識では、不適切ケアがエスカレートして起こる高齢者の虐待について解説するよ。
高齢者の虐待は身近に起こりうる?虐待の種類とは
介護現場では、時に介護職による高齢者への痛ましい虐待がニュースになることがあります。
では、どのようなことが虐待にあたるのでしょう。詳しく見ていきましょう。
■高齢者の虐待の種類
身体的虐待 | つねる、叩く、殴るといった暴力で利用者に痛みやケガ、恐怖を与える行為 |
心理的虐待 | 侮辱や脅しの言葉や態度、無視などで利用者に精神的な苦痛を与える行為 |
性的虐待 | 性的な行為の強要や、入浴・排泄の際に裸や恥部を露出したまま放置し辱める行為 |
経済的虐待 | 利用者の財産や金銭を無断で使用したり、利用者自身に使用させなかったりする行為 |
介護・世話の放棄・放任 | おむつ交換や入浴など、必要なケアをせず、利用者の状態や生活の質を低下させる行為 |
これらのうち、介護施設で多いのは身体的虐待です。
以下のグラフをご覧ください。
■介護施設における虐待の種類の割合
- グラフは「令和3年度『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果/厚生労働省」を参考に当社が作成
ご覧のように、身体的虐待の割合が51.5%と、半数以上に上り、心理的虐待、介護放棄と続きます。
身体的虐待は、利用者への暴力だけではありません。睡眠剤や鎮静剤を過剰に与える、部屋にカギをかける、ミトンやつなぎ寝間着で行動を制限することなども身体的虐待にあたります。
これらの虐待を受けやすいのは、認知症の利用者です。認知症の利用者とのコミュニケーションにストレスを感じた介護職が、虐待を行ってしまうケースが多いと考えられます。
同調査では、虐待の発生要因として
- 「教育・知識・介護技術等に関する問題」56.2%
- 「職員のストレスや感情コントロールの問題」22.9%
- 「虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制等」21.5%
- 「倫理観や理念の欠如」12.7%
を挙げています。※複数回答
「虐待なんて、自分の職場ではありえない」と過信せず、いつ身近に起こってもおかしくない問題として、不適切ケア・虐待防止に取り組んでいきたいですね。
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