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2015年11月30日

廃用症候群が高齢者寝たきりの一因に

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【廃用症候群とは】

廃用症候群は「身体の不活動状態により生じる二次障害」として体系化された概念で、不動や低運動、臥床に起因する全身の諸症状を総称している。簡単に説明すると、過度な安静状態が長く続くことでおこるさまざまな心身機能に生じる二次的障害状態を指します。 特に高齢者では、衰えた筋肉をもとの状態にまで戻すことが難しく、ちょっとした入院などが原因で「起きられない」「歩くことができない」「寝たきり」となり、廃用症候群となる可能性があります。 人はベッド上安静などで筋力を使わなかった場合、1日で3~5%、1週間で20%の筋肉が減少し、衰えた筋肉を回復させる為には、1日休むと1週間、1週間休むと1か月を要すると言われています。 安静による活動量の低下は結果として筋力が落ちるだけでなく、関節の拘縮、心肺機能・消化機能・精神機能の低下を招き、ようやく動こうとすると起立性低血圧で立ちくらみが起こるなど、どんどんと身体を動かし辛くなるという悪循環に陥ります。こうして寝たきりへと繋がっていくケースが多く、現在寝たきりの方の3分の1は、この廃用症候群が原因によるものだとされています。

【廃用症候群の症状】

【廃用症候群の症状】
身体の不活動状態により生じうる二次的障害として、筋骨格系、循環器系、呼吸器系、消化器系、泌尿器系、精神神経系など、以下の症状が挙げられる。

①筋骨格系:筋力低下、筋萎縮、骨移植、関節拘縮

②循環系:運動耐容能低下、起立性低血圧、動脈血栓、心機能低下

③呼吸器系:肝機能低下、肺炎

④消化器系:便秘、食欲低下、逆流性食道炎、摂食・嚥下障害

⑤泌尿器系:尿路感染、尿・便失禁

⑥精神神経系:うつ状態、せん妄、見当識障害、認知症、圧迫性末梢神経障害

⑦その他:褥瘡

このように、寝たきりは身体機能の低下だけでなく、心理面にも大きく影響を及ぼす事を知っておきましょう。

【廃用症候群を予防するためには】

廃用症候群は、インフルエンザや骨折時など、安静状態が続く事で起こるものです。このような廃用症候群を予防する為には、できるだけ寝ているだけの状態を長引かせない取り組みが重要です。急に歩かせようとするのではなく、病気の回復状況を確認しながら、座位時間を増やしたり、ベッド上運動などを行いましょう。また、人との関わりが薄れないよう、言葉をよくかけ、昼夜のリズムを崩さないような関わりも重要です。 実際には安静臥床のみで廃用症候群が生じる事は少なく、低栄養やサルコペニアを合併する事が多いとされています。高齢者の廃用症候群に対して、栄養状態を考慮せずに機能訓練のみを行うと、かえって栄養状態が悪化する可能性があるため、運動と刺激のある生活と栄養状態の改善について、専門職とよく連携をはかり取り組みましょう。