【睡眠障害とは】
睡眠障害とは、睡眠と覚醒のリズムが量的・質的に乱れた状態の事をいい、不眠症、過剰睡眠、睡眠時の異常行動など、その症状と原因はそれぞれ異なります。
人間の生活は、活動と休息をリズム良く繰り返すことで成り立ち、休息をとることによって、疲労を回復させています。最も完全な休息は睡眠であるとされているように、睡眠障害をきたすと、身体的・精神的・社会的な活動と回復に大きな影響をもたらします。
【加齢による睡眠の変化】
睡眠は浅い睡眠のレム睡眠と深い睡眠のノンレム睡眠に分類され、高齢者では深い睡眠のノンレム睡眠の時間が短くなります。これは血圧、体温、ホルモン分泌など睡眠に関わる生体機能リズムが乱れることによって生じる変化で、高齢者の睡眠は、入眠困難で、眠りは浅く、中途覚醒が多い、という特徴的な変化を示します。
【睡眠障害への対応】
高齢者の生き生きとした生活、QOLの向上を鑑みた場合、睡眠の問題は特に重要と言えます。日常的な睡眠障害の訴えの中に、何か原因となる疾患が隠れていることも考えられます。夜間の睡眠時間が極端に短い、中途覚醒が多い、眠りが浅い、昼間の覚醒状態が悪く日中の活動に支障をきたす等の兆候・訴えが顕著であれば、早期に医療機関を受診しましょう。結果的に身体疾患の早期発見につながることがありますし、身体の回復と平行して、睡眠の質を改善させることが可能な場合もあります。
また、身体疾患の回復が十分でなくとも、日常生活における工夫に加え、睡眠障害の治療(薬の内服)により、睡眠障害を改善できる可能性もありますので専門医に相談しましょう。
介護者はまず、高齢者の不眠を当たり前の事と軽視せず、高齢者の訴えを大切しなければいけません。
身体的苦痛の緩和、ストレスや不安への対応、日中の活動性の向上、頻尿や失禁への対応、環境を整えるなど、原因をよくアセスメントし、個別的な対応をとる必要があります。
ただ、高齢者本人は睡眠時間が十分ではないと感じていても、日中に眠気などがなく元気に活動できているようなら、それは睡眠障害ではないのかもしれません。
強迫的に“もっとしっかり深く眠れなければ健康に悪い”と考えるよりも、起きている時間を有意義に使うことを考えるなどして、高齢者に寄り添った対応を心がけましょう。