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2015年10月14日

訪問リハビリテーションに求められるもの

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訪問リハビリテーションに求められるもの

病気や怪我などにより、医療機関における治療が必要不可欠な状態にある時期を急性期と呼ぶことに対し、その急性期の治療を経て徐々に回復していく時期を回復期、そして、回復期を経て元の生活に戻り、症状が再燃することのないように努める時期を維持期と呼びます。

一般的に、急性期である医療的介入が最優先とされる状態が落ち着いてくると、低下した身体機能を回復すべくリハビリテーションが実施されますが、医療機関におけるリハビリテーションの実施には限界があります。

発症した疾病により、リハビリテーションが医療保険において算定できる期間に差異はあるものの、現代日本においては急性期から回復期にかけて入院治療を要する場合であっても、症状が落ちた段階で可能であれば入院治療はなるべく短期間で終了し、自宅療養と外来通院にて回復・維持に努めるという流れが主流です。
そこで、患者さんの退院後の生活、機能回復を促進する担い手となる施設がいくつか存在します。

患者さんの退院後の生活、機能回復を促進する施設

1つには、介護保健施設等におけるリハビリが挙げられます。医療機関における入院治療期間が終了した後に、老人保健施設など医療と自宅との中間施設の利用を経て回復期を過ごし、しっかりとリハビリを受けてから自宅に戻るという選択がこれにあたります。

2つ目に、医療機関における外来通院が挙げられます。自宅からの通院が可能という場合、近くの診療所や病院に通院し、そこでリハビリを受けるという方も少なくありません。

そして、3つ目に居宅介護サービス利用におけるリハビリが挙げられます。
こちらもまた、自宅から施設への通所ができるようであれば、通所デイなどを利用することで施設内におけるリハビリを受けるという選択が可能です。
しかし、自宅外の施設まで通所することに困難がある場合、選択肢として挙げられるのが訪問リハビリテーションということになります。

訪問リハビリテーションで働く職種

一般的にリハビリと言うと、身体機能の回復・維持のために行うものと利用者は認識しがちです。もちろん、急性期から回復期におけるリハビリでは、最低限の身体機能の回復が見込めないと自宅に戻れないという側面があるため、リハビリと言うとそのような要素が強くなることも否めません。
しかし、回復期から維持期におけるリハビリでは、元の健康な身体に戻るということだけに重きを置くのではなく、利用者一人一人が発病と急性期を経た現在の身体機能のもとに、自信と尊厳を回復した生活を送るように援助することが最も大切と言えます。
これこそが、本来のリハビリテーションの意義とも言えますが、当事者である利用者や家族は、発病前の状態と比較して低下した身体機能に戸惑い、具体的な改善策を見いだせないまま自宅での生活をスタートさせていることが少なくありません。

よって、訪問リハビリテーションでは、施設入所や施設通所におけるリハビリと違い、以下の点をより念頭においたサービスの実施が求められます。

・利用者が自宅内において、どのような移動手段を持てているか評価し、必要な練習を行う
・入浴、更衣、トイレ、家事動作などを確認し、必要な練習を行う
・食事場面、言語の評価のもと工夫点を検討し、練習を行う
・必要があれば、手すりや補助具、車いす等の福祉用具の調達や住宅改修の検討、提案を行う
・自宅内で安全に行える運動や動作の指導を行う(本人、家族や介護サービス提供者と理解を共有する)
・趣味など娯楽、余暇活動を楽しめているか確認し、必要な工夫と配慮を行う

このように、訪問リハビリテーションでは、利用者や利用者を支える家族、介護サービス提供者などと情報を共有しながら、心身共に回復・維持を目標とすることと同時に、利用者の“今現在ありのまま”で、いかにQOL向上を実現できるのか、という視点を忘れてはなりません。
特に、訪問リハビリでは、利用者1人1人のペースで個々のニーズに応じたサービスが提供できるというメリットがある反面、施設内においてリハビリを受ける際には得られる“社会とのつながり”や、“効率的なリハビリを実施するための器具”などが得られないことがデメリットと言えます。
ですから、訪問リハ実施者には、それらのデメリットも意識しながら、どのようにカバーすることができるか、という点に加え、メリットを十分に発揮したサービスを提供できるよう努めることが求められています。
そのためには、利用者や支える家族がどのような生活を送りたいと希望しているのか、どのような点に生活上の困難を感じているのか、などしっかりと耳を傾けニーズをキャッチできるコミュニケーション能力と、ニーズを踏まえた上でリハビリテーションの実施に移せる専門的な知識が不可欠であると言えるでしょう。