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2015年09月14日
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(略:特養)とは、地方自治体や社会福祉法人などにより運営される介護保険適用の公的介護施設です。特養への入所には条件があり、65歳以上で要介護認定を受け、要介護1以上という基準が設けられていました。H27年4月からはその基準がさらに厳しくなり原則要介護3以上と見直されていますので、今後の入所者はさらに自宅での生活が難しく施設における介護が必要な高齢者の入所が増えていくと予想されます。
そもそも、特養はこれまでも重度の要介護状態にある高齢者を優先的に入所受け入れする施設として存在していました。
食事や排せつ、更衣や入浴など日常生活全般の動作に常時介護を必要とするよう介護者の“生活の場”である特養ですが、入所にあたり、要介護状態にあることに加え、要介護者をとりまく環境や経済面など、総合的に判断して必要性の高い人から入所受け入れしているという側面があります。
そのため要介護者の“生活の場”でありながら、一度入所するとそのまま特養で人生の最後を迎える“終の棲家”となり得る現状があり、特養働く職員は生活介助だけでなく、看取り看護や看取り介護を求められることも少なくありません。
この点が、同じ入所施設でも介護老人保健施設(略・老健)と異なる点だと思います。
老健は、“家庭への復帰を目指す”という目標があり、急性期に入所している病院と、入所者にとっての生活の場である家庭との中間施設という位置づけを持っています。
よって、入所期間は原則として3か月であり、その間に自宅に戻った際に必要な体力をつけ、機能回復訓練、リハビリ等を積極的に行うことで入所者の地域復帰を後押ししているのです。
しかし、老健は機能回復というより機能維持という意味合いが強く、地域に戻るための仮住まいではなく、老健そのものが“住居”となり、利用者にとってメインの生活場となるわけです。
要介護度の高い入所者にとって、生活全般における介助が不可欠であることは言うまでもありませんが、機能的に衰えていく方、医療的ケアを必要とする配分が大きくなっていく方が多い中で、入所者とその家族にこれからの時間をどのように生きたいか、どのように生きてほしいか、安楽・安寧な日々を送るために、どのようなサポートを組み合わせて提供するか、という話し合いと、当事者や家族に寄り添う気持ちがなければ、なかなか務まる職場ではないと言えます。
また、入所施設なので、当然のことながら遅番や夜勤など、職員配置が手薄になる時間帯があり、その間に入所者の体調が急変しないとも限りません。
老健との違いにおいて、老健は医師が常勤で1人という規定があるのに対し、特養は非常勤医師でも良いことになっており、必ずしも医師が施設内にいるとは限りません。
予期せぬ出来事にも、自分の判断で対応しなければならない場面もあり、それらに対応するだけの知識や経験、そして何よりメンタルの強さが求められる職場であると言えます。
特養で働く職員には、医師、看護師、介護職員、機能訓練士、相談員、栄養士などが勤務しています。
勤務体制としては、朝出、日勤、遅出、夜勤という3交代+月に数回の夜勤というシフトを組んでいるところがほとんどで、日祝なども関係なく週休2日が基本となります。
業務内容は、職種により違いがありますが、入所している要介護者への日常生活全般をサポートすることが毎日のルーティンワークとなりますので、更衣、食事、排せつ、入浴などの介助に加え、レクリエーション活動の提供や、リハビリなどを1日の流れの中で個々に応じて提供します。 入所者は就寝した後も、トイレ介助や寝たきりの方のオムツ交換や褥瘡予防のための姿勢変換、認知症の方が徘徊を始めた時にはそれらに対応する等、夜間とあっても業務が減ることはありません。もちろん、毎日の記録や各種書類の作成、施設内行事の運営や、家族を交えた面談など、合間に行う業務も多いことは言うまでもありませんね。
特養で働く職員は、医療的ケアは看護師、栄養指導は栄養士、機能回復は各種セラピストと、各々の専門性をもってしなければ提供できないサービスを分担して行う一方で、基盤となる生活介助に関しては職種を超えて共同で行わなければならない場面が多くあります。
よって、医療的ケアの必要性が少ない入所者が多い特養や、医療的ケアが必要な方の受け入れをしていない特養などでは、看護師と介護職員の業務分担が明確でないといった職場もあるようです。
また、入所者にとっての生活の場であることから、日々のルーティンワークが多く、それらに追われているうちに、各職種が自分たちの専門性を高める機会を持ちにくい環境であるとも考えられます。
このような入所施設で働く職員は、各自で時代にマッチした専門性を維持できるよう、勉強会や研修会に積極的に参加する姿勢が求められるのではないでしょうか。