ケアお役立ち情報
2015年07月21日
高齢者の低栄養について
高齢者の低栄養について
生物が生きていくうえで、栄養とは生命の維持に最も深く関わっており、食事は最も簡単に栄養を摂取することのできる行動です。人間においては、日々の健康を維持して自立した生活を続けることを可能にするためには、食事による栄養管理が不可欠となっています。もちろん、それは年齢に関係なく重要なことではありますが、高齢者にとっては栄養状態が悪くなってしまうと、すぐに「自立した日常生活」や「要介護度」に悪影響を与えてしまい、対処が遅れてしまえば、その後の人生にも重大な影響を及ぼしてしまいます。
【高齢者における低栄養の原因】
そうすると、身体が必要とする栄養バランスや食事量よりも少なくなってしまう場合が多く、低栄養状態を引き起こしやすくなってしまいます。
次に、運動量・活動量の低下が挙げられます。多くの人間は運動や活動することでエネルギーを消費して、結果的にお腹が減りやすくなりますが、高齢者のように、身体を動かすこと自体が億劫で、日常生活も出来るだけ動作を省略して生活しているという方も少なくはなく、そのような活動性が低い生活を送っている方は、必然的にあまりお腹が減ったという気持ちになりません。その結果、「今日はあまり動いてないから食べなくてもいいかな」「年取ってからあまり太りたくないから食べたくない」と考えてしまう傾向があり、低栄養状態を引き起こしてしまいます。
また、感覚機能低下も原因の1つとして挙げられます。人間は加齢によって様々な身体の神経・感覚や機能が低下したり、刺激を受け取る細胞数自体が減少をしてしまいます。そのため、食べ物の味を脳に伝えるために重要な味蕾という細胞が、加齢によって減少してしまうと、味覚の感覚が鈍くなってしまいます。特に、塩味や甘みを受容する感覚が低下してしまうといわれており、高齢者は濃い味つけのものを好んでしまう傾向が強くあります。そうなると、このような傾向は、塩分などを過剰に摂取してしまいがちになってしまい、体内の栄養バランスが崩れてしまう原因になります。
ほかにも、口腔内の要素も挙げられます。高齢者は入れ歯(義歯)を使用している方が多くを占めています。しかし、加齢に伴って食事の内容も全体的に柔らかいものが中心となってしまいがちで、そうなると口腔内の歯肉がどんどんと減少してしまい、結果的に義歯も合わなくなりやすくなってしまいます。そして、合わなくなるということは、「食べると口が痛い」「痛いから食べたくない」となってしまいます。また、脳梗塞等の中枢神経系の障害をされた方は、口に入った食べ物を飲み込むという動作が麻痺してしまいがちになり、食道ではなく気道に食べ物が入っていってしまい、「怖いから食べたくない」となり、食事をきちんと摂取できなくなって低栄養状態を引き起こしてしまいます。
これらのように、高齢者の場合、色々な要素が食欲の減退につながってしまいやすく、低栄養となってしまうため、「生活環境要因」や「精神的要因」も周囲の人が注意して見守っていく必要があります。また、バランスの良い食事は一般的に、1日1500kcalが適当だといわれていますが、メニューは何がいいかわからない時は、地域の高齢者センターに相談するとアドバイスをくれる地域も多くあるため、活用していくことをおすすめします。